武甲山①

先日初めて秩父に行った。仕事だったからうろうろする時間はなかったけれど、初めて目にした武甲山の山容には衝撃を受けた。思っていたよりも人里に隣接していて、町のどこにいても見上げるような存在感がある。移動中、家々の間からその人工的な山肌が見えるたび、ネガでもポジでもない感情が胸をざわつかせて、改めて武甲山を眺めるだけの日を作ろうと決めた。地域のシンボルとなる山を仰ぎ見る自分を分析すると、そこには少なくとも畏敬の念があるなと思う。それは山・自然そのものへの畏怖と、山を神奈備として信仰してきた人たちの信仰心そのものを敬う気持ちから来ていて、武甲山に対しても同じ気持ちでいた。ただしこの山への眼差しには、スカイツリーとか超高層ビルとかの巨大建造物を間近から眺めたときの「かがくのちからってすげー!」的な感情も同居していて、今回の遠征散歩ではその2種類の感情に揺さぶられながら歩くことになった。